山元町「思い出サルベージ」から派生したプロジェクト「LOST & FOUND」の展示が今日から東京・西麻布にて始まりました。

(この写真はLOST & FOUND PROJECT の HPより転載しています)
LOST & FOUND では、山元町で集められた被災写真の中でも損傷が激しく持ち主の判断が難しいと判断されたもの、また持ち主が見つかったものの中からお貸しいただけたものとが展示されています。
LOST & FOUND PROJECT
http://lostandfound311.jp/
LOST & FOUND PROJECT が生まれた背景の一つには、思い出サルベージのポリシーがありました。思い出サルベージのポリシーとは 全ての写真を残すこと です。そこには、捨てていい写真は一枚も無いはずだという強い確信がありました。

たとえばこの写真。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、犬が写っていたものです。飼い主の方にとっては、20年前に飼っていたワンちゃんの大切な思い出なのだそうです。これがあるだけで当時の様子が目に浮かぶとおっしゃっていました。

写真を捨てていいかどうかは、持ち主以外の人間には判断できません。約70万枚に及ぶ写真の全てをデジタル化したのも、全てを後に残る形にするためでした。

しかし残念ながら、中には損傷が激しくてどうしても識別が難しいだろうと思われる写真もありました。
持ち主の判断が難しい写真をどうするか。フォトグラファーの高橋宗正さん(思い出サルベージ副代表)がこんなことに気づきました。
来てくれた友達がみんな「話を聞いて想像はしていたけれど、実際に自分の目で写真を見てみると感じることが全然違う」というようなことを言う
持ち主の判断の難しい写真であっても、被災地外の人間にとっては何かしらの意味を持つのではないか。高橋宗正さん主導のもと、損傷の激しい写真に最後の役目を与えるための作業が始まりました。
損傷の激しい写真を大量に袋詰めする作業は、厳しいものとなりました。袋詰め作業は一部を遠隔地のボランティアが、大部分を地元の伝承館職員さんが行なってくださいました。

今日から始まる展示には、思い出サルベージのポリシー、作業を通じて生まれた気づき、膨大な袋詰めの作業、そして何より たくさんの人間が山元町の思い出と真摯に向き合ったことの成果が詰まっているはずです。
現地派遣隊 溝口
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